コラム151 118番通報とシングルハンダーの救命具

コラム151 118番通報とシングルハンダーの救命具
 一人だけの船旅で落水すると、機走,帆走時を問わず、走り去る艇には追いつけない。
 落ちないためには、ハーネスを必ず使用する。春一番U世号では、バウとスターンの
パルピット間をワイヤーで結んでおり、これに常時ハーネスにとり付けているライフラ
インをかけている。
 航行中にデッキを動き回る場合でもライフラインを外すことはないから、落水のおそ
れはまずない。体に付けているのは、写真のとおり、ポーチ型膨張式救命具、ナイフ、
呼子笛、防水型携帯電話である。
写真のナイフはスエーデン製のジャックナイフであるが、切れ味がいまいちなので、ス
イス製のナイフを常用している。シーナイフは帆船では必携のもので、体に巻きついた
り、解けないラインを切断する必要があるときに、一々、キャビンまでとりに行く余裕
があるとは限らないから、常時携帯すべきだ。
 呼子笛は愛媛県警の刑事部長をしていた義弟からもらった警察官が使用している笛で、
いくつか使用した笛のうちで、この笛が一番響くようだ。写真のベスト型の膨張式救命
具は法定数外のもので、2個もっているが、ポーチ型のものを常時ハーネスに取り付け
ているので、ベスト型を使用することはない。
 携帯電話はドコモの防水型で、万が一落水した際に海中で118番通話ができる。
 携帯電話の防水性能は規格があって、少々水に浸かっても使用できるようであるが、念
のために携帯電話用のビニール防水ケースに入れている。
 これらの携帯小物は落水時の用心のためのものである。
 これ以外に欲しいものは、機走時にエンジンを無線で遠隔停止できるリモコンと、帆
走時の舵を無線で遠隔操作できるリモコンが欲しいが、いずれ仕掛けを造ってやろうと
思っている。
 携帯電話での118番通報については運用開始(平成12年5月1日)から平成19
年3月31日までの通報数合計は 5,347,384であるということだが、間違い電
話等が5,311,618件( 99.3%状況)であるということだ。間違い電話等と
いうのは、単純な間違い、いたずら、無言、着信時即断の合計だそうで、世の中にはくだ
らんことをする阿呆な暇人の愉快犯がいるものだ。
 海上保安庁は「118番緊急通報」の際は、必ず口頭にて通報位置や目印となる物標を
正確に通報して下さいといっているが、平成19年4月1日から全管区海上保安本部の運
用司令センターにおいて、「緊急通報位置情報通知システム」を導入することになった。
 これは、「118番緊急通報」において、各管区海上保安本部の運用司令センターで音
声通報と合わせて位置情報通知を受信し、電子地図上に表示させ、通報者の所在位置を迅
速に把握するもので、対象となる電話は、携帯電話(第三世代と呼ばれる対応機種)、
IP電話(モバイル利用除く)等で、携帯電話からの通報の場合、GPS測位方式対応機種で
は、GPS測位情報が通知されるが、それ以外の機種では、受信した基地局所在地等から
算出された位置情報が通知されるということである。携帯電話の対応機種については、購入
時に確認すればいい。
 落水しても、海上保安庁が落水位置を特定してくれる便利な世の中になったもので、沿
岸海域での救難活動に威力を発揮するだろう。
 ハーネスというのはヨットやロッククライミングで用いる安全ベルト(パラグライダー)のこ
とだが、様々な形状がある。だが人間用のものだけではない。(電気) 電線・ケーブルなどを
束ねてユニットとしたものもハーネスというし、馬車馬に付けるハミや腹帯などの馬具、首輪
の代わりに犬の前足から胴の部分につける器具。とくに、盲導犬を制御する取っ手のついた腹
帯もハーネスだ。 
 ところで、私の艇には本格的なハーネスを備えているが、殆ど使用しない。その代わり、
次の写真のように120センチメートルほどのスリング(全周240センチメートル)を使
用して簡易ハーネスとしている。このスリングの破断力は2キロトンで、登山用のスリングで
ある。値段は1,000円ほどの品物だ。
 あと50センチ長いと、更に簡単なチエストハーネスを結ぶことができるが、いまのところ
適当なスリングが見当たらないのが残念だ。
 これを使った簡単なチエストハーネスの作り方を紹介しよう、写真を見て欲しい。
 松山市のアウトドアーショップの菅野 哲氏がモデルである。


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